今起こっている格差は国内の再配分では是正できない

選挙が佳境になり、どの候補も、格差、格差、と叫んでいるようです。

格差が広がるのはよろしくない。
ジニ係数などの話しがよく上がりますが、これを、再配分で是正するのだというのがよくいわれている議論です。

たしかに、いままでは、国内で格差があったので、再配分がきいていました。
国内の競争で、負けた人と、儲かったひとがいて、所得格差が開くので、それを再配分で是正するのです。

しかし、いま起こっている所得格差は、国内とは関係ないところで起きていることに注意してみてください。いままでのような単純な話ではなくなっているのです。



現在、賃金が下がっている層は、国内の競争に負けたわけではありません。相手は、中国だったり、アジアの賃金の安い国です。かれらに雇用を奪われ、賃金が、やすい水準に吸い寄せられているのです。
国内の価格の低下、デフレ、というのが、不況でおきているということではなく、このような内外価格のサヤ寄せによって起きているというのは、経済学者が指摘するところです。

問題は、誰と誰が競争しているのか、ということです。国内で競争していて、国内で勝ち負けが決まっているなら、国内で再配分すればいいのでしょう。
しかし、いま、再配分を必要としているひとの賃金がさがっているようなデフレといったような言葉で表される現象は、中国を始めとする、賃金のやすいアジア諸国からの圧力によってそうなっているわけです。
これをグローバルな賃金の大収斂といった表現をすることもあります。

つまり、日本の労働者が得られる期待の富が、アジアの労働者に移動しているのである。
日本の労働者が貧乏になり、アジアが富んでいる。ということです。

こうなると、再配分といっても、だれから誰に再配分するのだということになります。
だって、富んでいるのはアジアの人なんですから。

つまり、日本の資本家が日本の労働者から吸い上げた富を、日本国内に貯めこんでいるという1917年的な単純な構図ではないのです。

アジアの安い労働力をつかっていちばん儲けているのは、中国の富裕層です。
だから、極論をいえば、日本の賃金の低下を再配分で補填するのは、中国の富裕層であるのが正しいかもしれません。そこから再配分を受けなくては筋が通りません

国内のデフレで苦しんでいる層は、中国の富裕層に再配分をもとめて決起すべきだ

ということになります。

しかし、再配分の仕組みは国内に閉じているので、
矛先は、国内の富裕層に向かい、そこがやり玉にあがってしまいます。

しかし、国内の富裕層は、すぐには納得できません。お門違いではと思っているのです。
だって、賃金が下がっている原因は、国内の富裕層が、自国の労働者を低賃金で買い叩いて搾取した結果ではないのですから。自分たちは国内の労働者から再配分の原資をもらっていないのに、単に所得が高いからといって、国内に再配分するのは納得がいかないのではないでしょうか。

短期的に、国際的な再配分の仕組みができるとは思えませんが、
こういう原因を無視して、結果としての所得の格差だけを理由に、再配分だけをもとめていくというのは、納得が行かなくなってくるだろうとおもいます。
結果として、富裕層の国外脱出もおこるでしょう。
もはや、格差がうまれる構図は、国を跨いでいるという認識にたって、再配分の仕組みを考えていく必要があるのだと思われます。

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