電通-クライアントの犬という付加価値

元電通社員の「広告業界という無法地帯」という記事が面白かったです。

幾つかのポイントと、コメントを書きます。

撮影済みで、編集も最終段階にかかろうかというテレビCMに対し、打合せにもいなかったエライさんが急に「気に喰わん。やり直せ」と言ってくる。
クライアントは容赦なく「あれしろ」「これもしろ」「明日までに」「朝イチで」と申し付けてくる

典型的なIT業界でいうところの「デスマーチ」ですね。突然の仕様変更とか、やっぱりこの機能が欲しいとか。

しかしながら、これは、広告業界の特性や、働き方の問題とかでもなんでもなく、単にクライアントマネジメントが全く出来てない証拠ではないかとおもいます。

こういう状態が続くと、社員は疲弊しますよね。終わりもゴールも曖昧で、理不尽なことばかり起きて、それに徹夜で対応すると・・。

長時間残業が減らない理由をもうひとつ挙げるなら、アイデアという無形のものを扱っているため、企画においては「これで完成」ということがない。

長時間労働が減らない理由として、無形のサービスは期限がないので、仕方ないということも書かれています。

しかし、これはどうでしょうか?

たとえば、私がかつていたコンサルティングという業種ですが、とりわけ戦略的なコンサルティングは、「自社がこれからどう伸びるべきか?」「当社の営業体制はこのままでいいのか?」とか、そういう課題と依頼内容で、形が無いどころではありません。

これに対しまして、与えられた期間は3ヶ月とかで、社内的にはこの時間内で必ず終わらせることが求められました。

しかしながら、当然、真っ当なコンサルタントは、適切にスコープを切って、数ある議論のなかから本当に重要な点だけを取り上げ、それを深堀し、データで事実を示すことによって、期限内に、顧客が満足する成果をあげていました。当然途中で、クライアントが脱線することもありますが、その場合はうまく本筋ロジックに引き戻すなど、工夫をしていました。

納品物すら定めておらず、何をもって完成かもまったく無い、コンサルティング業ですが、私が見てきた限り、そういう特性にもかかわらず、期限内に適正な人員で顧客が満足する成果を出していました。

これは、契約で言われたことだけしかしない、というとはちょっと違って、見事なプロのマネジメントだと思ってます。この顧客コントロールと、プロジェクトコントロールの技は、コンサルから大いに学んだ点です。

さて、欧米の広告業界では、当然そういうようなマネジメントをしていると理解しています。

欧米の広告会社がどうしているのかは知らないが、グローバル気取りするなら、仕事の前に契約書でも取り交わして、することとしないことと、できることできないこと、その料金表を提示して、それを遵守したらどうなのか。

と書かれていますが、そのとおりとおもいます。(ただ契約に書かれたことだけやるというのとはニュアンスが違う思ってまして、コンサルティングの契約書も、具体的に何をやるかということについては全く書かれていません。具体的な内容や、できることで、できないことは、プロジェクトマネジメントの範疇に入る部分が大きいのではとおもいます)

まあ、以上は、流石に電通様にも釈迦に説法で、ここからが本質とおもったところになります。

当然、電通におきましても、優秀な人材が多いですし、こういうプロマネ能力は当然あると思うし出来ると思うのですが、ビジネスモデルとしては、そこを強みにできない事情があるんじゃないかと、ブログを読み取ったということです

電通はちがう。もっとくだらなくて、どうでもいい仕事じゃないか。それに命を懸けているフリをしないと仕事を獲得できないインチキな仕事なだけじゃないか。

つまり、あえてクライアントマネジメントの気まぐれや、わがままを飲み込み、どうでもいいことや、無理難題にも対応することで(これを長時間労働と気合でなんとか納品して)評判と信頼と仕事を獲得してきたというのが、ビジネスモデルの「本質」だったのかもしれませんと、上記コメントが示唆しています。クライアントの犬という付加価値。

こういうビジネスモデルは、デジタルの登場で終焉しつつあります。

いつ何を言っても広告会社はなんとかするべきだという風潮が蔓延している。

結果、電通がなんでも言うとおりにやるもんで、無理も聞くものだがから、徹底的にクライアントをつけあがらせてしまった。モンスタークライアントを作り出してしまったのも、当の電通自身なのかもしれません。これは自業自得のビジネスモデルと言わざる得ませんね。

 いいですか、恐ろしいのは電通でもNHKでも安倍政権でもない。どこにでもいる普通の人たちだ。自分の存在意義を誇示するがために、他人の時間を奪うエライさんだ。自分の身がかわいくて、上司からの無理難題をそのまま下請けに押し付けるサラリーマンだ。それを唯唯諾々と飲み込んで徹夜してしまう労働者たちだ。無論、僕もそのひとりであり、何もできることなどなかった。できたのは、会社を辞めることくらいだ。

日本社会の病理が的確に表現された見事な文章と思いました。

 

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