旧姓の使用はむしろ難しくなっていく理由-免許証に旧姓または戸籍名欄を- 究極的にはID番号を氏にして戸籍制度は維持できる

さて、夫婦同姓の強要が憲法違反かという判断で、合憲という判断がでました。残念です。これで正面突破はあと20年くらいは無理になったとおもうのですが、国会で法律が通るとも思いません。

ということは、実務的に、不都合な点をなくすようにするしかありません。

基本的には、旧姓の使用での不都合な場面をなくしていくことは、いますぐにでも出来ることで、この努力の方向性までもは否定されないはずです。

クレジットカードひとつ旧姓でつくれなかったり、銀行口座も、保険の契約も、ホテルの予約も出来ません。こういった状況で、旧姓の使用が一般的に認められているとは全くおもえない。職場の名刺に書いたところで、福利厚生の申請や、人事管理では戸籍名で行われています。海外のビザなんて超ややこしいです。

どうしてこうなってしまうかというと、ひとえに、公式の書類が旧姓をサポートしていないからです。

最近は、マネーロンダリングの問題で本人確認(KYC)をしろという制限が、かつてないほど厳格に適用される時代になっています。セキュリティや、犯罪防止の面からも、名前の確認というのが昔より厳格になっています。

むしろ昔のほうが通称名でなにかと出来たのではないかとおもいます。結婚に限らず、通称を名乗る人は昔からいましたし、昔はわりあい通称で通じる場面もありましたが、現在では多くの場面で身分証明書を添付しないと、何も出来ない状態になっています。

私もビットコインという普通のひとから見たら実に怪しい業界におりますが、取引所に口座を作るときには、身分証明書での確認が行われていまして、運転免許書や保険証で行います。その身分証明書というのが、旧姓をサポートできていません。旧姓で作りたいという要望が仮にあったとしても、旧姓を証明するものがない以上、戸籍名でしか口座をつくれないのです。これはもう、別名で口座をつくったら、マネロンの片棒を担ぐということで、当局に何かいわれても言い訳が立ちませんし、どうにもならない麺があるのです。

民間が発行する社員証なんかで本人確認してはどうでしょう?社員証なら旧姓のものもあると思うのですが、こんどは戸籍名がかかれてないので、本人確認を実施する機関からみると、偽名IDみたいな感じの取り扱いになってしまいます。

という事情がよくわかりますので、となりますと、すべからくお金を扱うようなものつまり本人確認が必要とされるようなもの全般で、今後はむしろ旧姓の使用は著しく制限されるというか不可能であるのは周知のとおりです。本人確認せよというサービスの領域はお金だけにかかわらず、弁護士サービスや、秘書代行といったサービスを使う場合にも拡大されてきておりまして、今後も、そういう領域は拡大していくものと思われます。つまり、旧姓の仕様の制限は、今後はどんどん拡大し、厳格化していく方向にあるということです。せいぜい社内やブログなどでの使用が広まるといったレベルで、公的にはどんどん狭まる方向にあります。

ですので、どうしたらいいかといいますと、結局、根本の問題をたどっていくと、やっぱり、身分証明書にあるんじゃないでしょうか。

ようするに、運転免許証に、旧姓も併記(または通称を選べるようにして、戸籍名のほうを併記)出来るようにすればよい。現住所と本籍地を併記するようなもんで。

公のIDがこうなっていれば、民間のみなさんも、カード会社も、保険会社も、航空会社も、どこもそのIDで登録することを拒否する理由がなくなります。

すでにパスポートは旧姓を併記出来るように配慮されていますが、運転免許書などの国家が発行するIDもそのようにすべきでしょう。

運転免許証に旧姓を併記する(または戸籍名を併記する)という運用には、特別法律の改正も必要ないように思いますし、役所の一存で、(ITシステム改修がいるにしても)今すぐ取り組むことができるのではないでしょうか。

そして、一存でそれをやっていただければ、たぶん日本中のすべての会社や公的機関が旧姓を正式なIDとして認めてもお咎めを喰らわないとおもいます。

本人確認を義務付ける法律や内部ルールというのは、「免許書などで確認すること」というような文言で書かれておりまして、「戸籍名の一致を確認せよ」とはなっておりません。ですから、公的IDに旧姓さえ書いてあれば、犯罪防止といった観点の法律上からも、正しく本人確認できたものとして、なんら問題なく旧姓を使用できるようになるのではないかと思います。

もちろん、氏名しかなかったデータベースに、旧姓(or戸籍名)という欄を新しくつくる改修がひつようなので、IT業界は特需になるでしょうが、追加の費用はかかるものの、そうしていくことに何らの制限はないはずです。

ですから、法律も変えずに済み、だれも反対をしないであろう公的IDへの、旧姓(or戸籍名)の併記というものを出来るだけ早く実現していただきたく思います。

このようなものが一般的になれば、戸籍名というのは、本籍地みたいなかんじで、本当のペーパーだけの価値になっていくと思います。もちろんそれでは解決しない問題(お墓とか、跡取りとか)そういった問題もあるのは承知ですが、実務上の殆どの問題はIDで解決しますし、そうしたことを経て、あとは国民のコンセンサスをとりながら、民法を改正が行われる方向となるのが近道とおもいます。

とはいいましても、夫婦別姓の思想的な部分は私も同意しておりますし、憤慨やるせないのですが、むしろ、役所の最良で解決できる部分が大きい問題ですので、それをそのまま放置しているという行政の不作為の方に、議論の矛先を向けていくべきであると思います。

なお、戸籍制度についてですが、戸籍という制度の良し悪しと、別姓議論、名前が紐付いているところを、なんとかして分離すべきです。戸籍制度の実用性はある程度認めるところがありますので、氏も、本籍にのように記号のようにしてしまうのがよいわけです。ですから、本籍地が選べるように、入籍時点で、適当に新しい氏をつけてそれに変更するようにすればばいいでしょう。これなら平等です。戸籍というのは昔からのすべての履歴を残す優秀なデータベースですから、その追跡性には問題は起こりません。

究極的には、氏名でなく、適切なID番号をあたらしく振って夫婦がそのIDの傘下に入るという方法でも戸籍制度は残せます。夫婦別姓にするより、機械的なIDを氏としたほうが戸籍制度としては一貫性があるでしょう。もしくは、マイナンバーの導入が行われたのですから、そちらを一義とする管理手法を徹底すれば、戸籍制度を廃するという選択肢をとることができる可能性を手に入れました。どちらの方法も、選択できるとおもいます。

ひさしぶりに、まじめに書きましたので、ご意見くだされば幸いです。

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