手に入らないものは、頑張って手に入れようとするより、悪として排除したほうがいい

ちきりんさんと藤野さんの対談は、とても面白く、ここしばらくで最も楽しんだ対談だった。しかし、その冒頭で藤野さんが大学生に聞いたという「投資は悪」「マーケットは悪」「労働は悪」みたいな話は、衝撃的であるとともに、さもありなんという感じである。

人は、絶望すると、逆の行動にでる。つまり、いま大学生のみなさんは将来に絶望しているのだ。

就職は難しいし、出世も難しいし、老後もちゃんと暮らせるかわからない。成功しようにも大変だし、経済も悪くなっているし、ようするにお先真っ暗なわけで。

で、そうなると、てにはいらないものはむしろ忌み嫌うようになる。

お金が手に入らない、たいして出世できない、というのがほとんどの場合で確からしいのであれば、むしろお金を手に入れた人を悪とみたしたほうが、心は晴れる。

お金が善で、自分は手に入らず、他人が手に入るとなれば、多くのひとの心は、やるせないままだろう。

マーケットが善であっても、自分では儲ける才能がなく、他人が儲かるようだと、そんなマーケットなんて否定したくなるのも、間違いない。

そこで、お金やマーケットを悪とすれば、やるせない心理も、なんとか納得できるかもしれない。

お金儲けなんて悪だし、お金があっても幸せになれるわけでもないし、お金なんて良くないものだから、それから遠くはなれて生きている私は、大丈夫。

こう思いたい。というか、それしか救いの道がない。

手に入らないものは、頑張って手に入れようとするより、悪として排除したほうがいい。

昔のソ連でくらしていたひとって、たぶんこんな感じなんじゃないかな。本気で、「自由は悪」って思い込んでなかったら、あんな抑圧された世界のなかで一生暮らすなんて無理でしょう。かといって、自由を求めて西側に行こうとしたら殺されたかもしれないし、そんなリスクはまっぴら。自由は悪としておくのが、平凡なひとの人生としては最適戦略だったわけです。

私が住んでるベトナムの人って、絶対水準でいったら日本人よりはるかに貧しいけど、それでもお金に対しては、もっとほしい、頑張れば手に入るってかんじでポジティブに捉えている人が多い。経済が成長しているからね。だれもが、それなりの所得を得られるチャンスがあるから。

重要なのは、いまの生活というより、未来が今より良くなると思えるかどうか。いまのところ、日本の未来は、今より悪くなるというのがコンセンサスなわけで。お金持ちやマーケットや外国人のせいにしないとやってられませんというのは、うなずけます。

 

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