Neuromancer ニューロマンサー 原点回帰の一冊

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ニューロマンサー

ウィリアム・ギブスン SFの金字塔。
中学生くらいのときに、この作品がSF界を席巻して、話題と賞を総なめにしたということをきいて、早速よんだことがある。

そのときは・・だめだった。

なにがダメかというと、文章が意味不明。 数ページよんで理解できない。 哲学書や経済学の本ならともかく、小説が理解できないというのは衝撃的であった。


たとえばこんな感じ、 冒頭のシーン
港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。 「別に用ってるわけじゃないんだけど──」
いくら読んでも理解できず、放り投げた。 世の中にこんなものを理解して「面白い」と感じる人がいるのだろうか。まったく疑問におもった。翻訳が悪い。意味不明だ、と。
(後になって原書を取り寄せてみたところ、原文も意味不明にスゴかったことがわかるのだが・・)

Neuro + Romancerというのがニューロマンサー。しかし、Necoromancer。 神経細胞と、ロマンス。死霊。 不思議な語感。

この作品がSFに与えた影響はすごい。 SFどころか、その後のすべてにだ。 映画のマトリクスは、この世界観をそのままパクったものだ。
これを映画化しようとおもって、ちょっと別の作品になってしまったのがマトリクスだ。 攻殻機動隊もモロにこれである。

この小説のすごいところは、ストーリー的に面白いというより、 過去にない、全く新しい世界観を作り出してしまったという革命性にある。
別の世界をつくってしまった。
その世界観があまりに強いので、後世の人はなにを書いても作ってもその世界観の中で仕事をしてるように見える。

1984年。25年以上前。 インターネットなど何もなかった時代の作品である。 カセットテープと音響カプラーの時代だ。
その時代に、ギブソンの頭のなかにはサイバースペースがあった。

5年ほど前、ふと、もう一度チャレンジしてみようとおもって、読み返してみた。
すると、なぜか読めた。 最後までよめた。 しかも、面白い。
とにかく、面白い。 かっこよくて、テンポがよくて、クールで、サイコーだ。 僕のなかでなぜこの本が突然読めるようになったのか、それは全く不明なのだが。 10年たって、理解できるようになったのだ。

一番好きなフレーズはこれだ。タイトルにもなっているニューロマンサーという人工人格が自分の正体を明かすところ。原文を引用。
“Neuromancer,” the boy said … “Neuro from the nerves, the silver paths. Romancer. Necromancer. I call up the dead. But no, my friend.” and the boy did a little dance, brown feet printing the sand, “I am the dead, and thier land.” He laughed.
はっきり言ってかっこよすぎる。 意味不明なトークなのだが。とにかくかっこよすぎる。 しびれるとはこのことだ。 ちなみに翻訳だとこうなっている。
「ニューロは神経、銀色の径。夢想家(ロマンサー)。魔道師(ネクロマンサー)。ぼくは死者を呼び起こす。いや違うな、お友達」 と少年はちょっと踊って見せて、褐色の足で砂に跡を印し、 「ぼくこそが死者にして、その地」
ひどいとおもっていた翻訳も、原文を見るとわかったのだが、これ以上にない、しびれる翻訳だ。

ちなみにニューロマンサーの舞台は、Chiba city(千葉シティ)
日本の町並みはどこか廃れていて、画一的で、機械的で、サイバーパンク的なのだ。

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