無気力は終身雇用に対する最大のテロリズムである

横須賀の市役所で異動を拒否して前の職場に居座り、出勤後は本を読んで一日をすごしていた職員(40)が停職一ヶ月をくらったようだ。仕事は一切していないが、給与やボーナスはちゃんと支払われる。
市によると、主任は4月1日付で発令された港湾部への異動に従わず、2年近くいた市民部にそのまま毎日通った。上司や同僚らが迷惑がる中で、空いた席に陣取って職務に関する本を読んでいたという。一方、港湾部では主任の異動拒否の影響で職員が1人少ないままになっている。

無気力は終身雇用に対する最大のテロリズムである。



終身雇用というのは、解雇規制もあいまって、絶対にクビにしないかわりに、会社のいうことはなんでもきくという一種の血の契約である。

異動、配置転換は拒否できない、単身赴任だって、地方転勤だって、10年間のタジキスタンの工場暮らしだって、定年までマニラで過ごせといわれてもNoとはいわない。人が足りないときにはサービス残業もいとわず、社畜となって、すべてを会社に捧げるのが暗黙のルールだ。そのかわり、会社側は株主利益よりも雇用を優先し、どんなことがあっても定年まで賃金を払い続けるというのが裏の約束だ。
要するに、手足が吹っ飛んだりしても一生恩給をだすし、戦死したら家族の面倒は軍が見るから、国家に忠誠を誓ってほしい、そういう約束に近い。

これには、前にもいったように、若いうちに貢献度よりも低賃金で会社に貯金をし、50代以降に出世とポストを以て報いるというものがセットであった。
しかしながら、昨今では40代で賃金が頭打ちになる。ポストも用意されない。若いうち働いて会社に貢献しても報われる保証はないのだ。

この主任の場合、ちょうどその40歳であり、移動先が港湾部というからには、おそらく左遷人事である。将来が見込めず、ポストも用意されないことがわかった主任がとった行動が、無気力という最大のテロリズムだ。

終身雇用+解雇規制の世界では、将来の出世の見込みがない人にとって最も合理的な行動は、一切働かないことだ。それでもクビにできないのだから、働かなければ働かないほど、ROIは上昇する。

将来にわたって賃金が上昇することがないなら、労働投入量を減らすことによって労働/賃金のROIを上昇させることができる。これが無気力労働のからくりだ。


サービス残業を拒否し、自分のパフォーマンスが悪くても「スキル向上の機会がなかった」といって開き直る。究極は、この主任のように、空いた席に陣取って職務に関する本を一日中読むことだろう。今後は、このような行動をするひとはめずらしくなくなるだろう。あと10年もゼロ成長がつづけば、会社内のサボタージュや、無気力によるテロが普通になるのは時間の問題だ。

これに対抗するには会社が解雇できるようにする以外にない。そのかわり、適正な賃金を適正なタイミングでキャッシュで払う。つまり、若いうちの賃金を適正な水準まで上昇させ、サービス残業は廃止し、他部門への異動や地方転勤は当然拒否できる。異動による社内ローテーションで出世するのではなく、専門能力によってキャリアを積み上げそれに応じて処遇する制度に変わっていかざるを得ない。

その変化の臨界点がいつになるのかは分からないが、職場の1割がこのような無気力テロの状態になった時点で変わると思う。

無気力で革命をおこすという、なんとも笑えることが起きようとしている。


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