グローバル規模での報酬のフラット化がもたらすもの(クラウドワーキング事業者編)

先日からクラウドワーキングを例にとって、グローバル規模での報酬のフラット化の話をしている。

ラウドワーク市場が世界単一のネット上のヴァーチャル市場に統合されるとき、一物一価になるという、単純な経済法則がはたらくからだ。

これによって、割を食う人と、豊かになる人がいる。

先進国のクラウドワーカーは、途上国のひとが安い値段で仕事をするものだから、その水準にまで単価がおちると、もう食っていけない。ロゴデザイン一つが5000円という世界では、東京やロンドンには住めないだろう。

途上国のクラウドワーカーは、いままで仕事が国内市場にとじていたものだから、技能があってもたいした賃金がえられなかった。クラウドワーキングの出現で、先進国から、先進国にちかい水準で仕事を受注することで、かれらは平均して国の一般的なひとの3倍以上の報酬を得ている

日本のクラウドワーカーは、月に1200ドル稼ぐが、日本人の平均賃金は3500ドルだ。
インドネシアのクラウドワーカーは、日本人よりすくなく836ドルを稼ぐが、かれらの国の平均賃金は236ドルである。*1

クラウドワーキング市場には、もうひとつのプレイヤーがいる。つまり仕事を発注する側だ。クラウドワーカーにロゴの制作を頼む事業者のことである。

この事業者について見てみよう。

先進国の、事業者は、クラウドワーカーのお陰で非常なメリットを得ている。
いままでは、ロゴをひとつ頼もうとしても、国内のデザイン事務所に発注し、めんどうな打ち合わせや見積もりをへて、ロゴひとつあたり十万単位の費用が必要だった。

これが、クラウドワーカーなら、ネットで即時たのめて、翌日にはロゴがあがってくる。そして費用は50ドル程度だ。

これが事業にもたらすメリットは非常に大きい。大幅なコストが削減できる。

クラウドワーカーは、クリエイティブ産業における途上国の工場だとおもうと理解早い。ユニクロが洋服をすべて国内の工場でつくれば1枚1000円のジーンズなど作れるはずがないが、中国の工場ならそれが可能だ。
そして、この恩恵をえるのは、ユニクロと、消費者である。

つまり、先進国においては、

事業者が最大の恩恵をうけて、そしてその先にある消費者がその恩恵をうける

その一方でクラウドワーカーは仕事の単価の低下を余儀なくされる

途上国の事業者はどうだろうか?

実は逆なのである。途上国の事業者にとっては、これは由々しき事態である。クライドワーカーの仕事の発注元が国際的に開放されたことにより、単価があがってしまっている。

いままでは他に仕事がないからということで、国内に閉じていたから、国内の平均的な単価とおなじような単価で安く発注できた。しかし、ネットで先進国から受注できるとなると、だれも国内のやすい単価ではしごとはしない。
インドネシアの企業が、インドネシア人に発注するからといって、月の報酬236ドルでいかがでしょう?とはいえない。世界的な平均であり、先進国の企業が払っているのと同じだけの報酬を支払う必要にせまられているのだ。

途上国のクラウドワーカーは豊かになるが、事業者はコスト高になってしまう。

まとめるとこういうことになる。◎がついているのが豊かになるひと。×がついているのがきびしいひと。

クラウドワーキングの影響
先進国 i)事業者(クラウドワーカーを使う人) いままでよりコストが抑えて安く作れる。儲かる。
ii)クラウドワーカー × 単価が下がる、生活が苦しい。
途上国 iii)事業者(クラウドワーカーを使う人) 知的労働者の報酬が年々べらぼうに上昇している。
iv)クラウドワーカー 世界中から先進国単価で仕事がもらえる。どんどん豊かになる

このなかで×がついているのは、先進国のクラウドワーカーと、途上国の事業者だ。

これらはどうすればいいのだろうか。

先進国のクラウドワーカーは、その立場であるかぎり構造的に難しい事態がつづく。◎のところに移動するというのが基本的なサバイバル戦略になる。

i)のパターンは、先進国で、自分で事業を興すことだ。そして自分が単価の安いクラウドワーカーをつかって、収益をあげることが出来るようにする。クラウドワーカーに仕事を発注する仕事をしてもいいし、クラウドワーカーを組み合わせて、日本のお客さんむけにカスタマイズした価値を提供してもよい

iv)に行く方法もある。自分が途上国に移住してしまう。インドネシアなら236ドルとはいわずしても、月に1000ドルくらいあれば、タワーマンションに住んで運転手が雇える。クラウドワーキングからの収入がかわらなくても、自分の住居を移すことによって、豊かになる途上国のクラウドワーカーと同じ立場になることができる。その間の余裕の時間にi)を狙う準備をしてもいいだろう

途上国の事業者にとっては事態はやっかいだ。クラウドワーカーのコストがどんどんあがるのだから、いままでのような経営ではむずかしくなってしまう。国内の所得があがり中間層が育つスピードよりも遥かにクラウドワーカーの賃金の上昇のほうが早いだろう。こうなると、場合によっては、先進国にものを売るということも必要になってくるだろう。

 

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