仕事の単価が下がり続ける恐怖に怯える人に残された4つの選択肢

昨日のエントリ、「クラウドソーシングで単価が下がっているフリーランスが大量にフィリピンに移住する未来」は、このブログ開設以来のビッグ・ヒット級のエントリになりました。みなさんお読みいただきありがとうございました。

クラウドソーシングというのは、ITをつかってリモートで仕事をする世界中のひとに仕事を頼むというものです。

これは、先進国の仕事を発注する側からみれば、新興国の人に依頼することでスゴくやすい単価で仕事を依頼できます。

しかし、その価格破壊力はユニクロみたいなもので、それに引きづられ、先進国内でクラウドソーシング対象となるような仕事(ライター、デザイン)などの仕事の単価がどんどん下がっていってしまっています。

これが問題だというのです。

が、これは一方的な見かたに過ぎません。

先進国のクラウドワーカーにとっては、仕事の単価が下がる悲劇ですが、新興国の技能をもったクラウドワーカーにとっては、新興国水準にちかい報酬を母国で得られるという貴重な機会なのです。これによって、彼らはどんどん豊かになります。

 (designclue(http://www.designclue.co/)で仕事をうけおっているクラウドワーカーの報酬の調査結果*1。 対象は、日本人8%、海外92%)

これを見れば、その意味がわかるでしょう。日本の平均賃金が3500ドルなのにくらべ、フリーランスのクラウドワーカーの報酬は1200ドルです。日本国内にいるひとは、クラウドワーキングのおかげで、平均賃金のわずか1/3くらいの報酬しか得られないのです。
フリーランスのデザイナーやライターが食えなくなっている、というのはまさにこのことです。

しかし、インドネシアの結果に注目してください。
インドネシアの平均的な労働者の賃金はわずかに239ドルでした。しかし、クラウドワーカーは836ドルの報酬を得ています。これは3.5倍です。
インドネシアのフリーランサーからみたら、クラウドワーキングは富の源泉です。かれらはITによるフラット化で、3.5倍もの高収入をえているわけで、どんどん豊かになれる。

インドネシアのひとは、いままでは国内にデザインといった仕事があまりなかったため高い報酬を得る機会がなかったか、仕事があっても国内水準にとどまっていました。しかしITの進歩により先進国からリモートで受注することができるようになり、その単価が先進国基準に近づいたのです。

日本在住者の報酬が1200ドルなのにくらべインドネシアは836ドルと、絶対値はインドネシアのほうが7割くらいの水準になっています。3割ディスカウントしても、それでもインドネシアのクラウドワーカーは豊かになります。

これは、グローバルで単価が一物一価に収斂していく、市場の典型例です。これは、先進国の人にとっては報酬の低下を招く恐怖である一方、途上国のひとにとっては、豊かになるチャンスということなのです。これを、大収斂といいます。

日本に住んでいるから、日本人だからというだけで、特別な報酬上乗せ(レント)が発生する時代ではなくなってしまったのです。

このデータをみれば感覚的にわかるように、この流れは決してとまりません。
日本のクラウドワーカーの報酬が下がっていくなか、グローバル化が原因だからということで、反グローバル主義をとって、これを押しとどめようとするのがいかに無駄であるかがわかるとおもいます。

では、どうすればいいのでしょうか。

日本のクラウドワーカーにとってはいくつかの方向性があります。

①もっと高度な仕事をする。雇う側になる。ワークから、事業への転換。
つまり、デザインの仕事であれば単発のデザインを受けおうのではく、コンセプトづくりやブランディングなどをふくめ、全体のプロデュースやプロジェクトマネジメントを請け負います。これらの仕事は、高度で付加価値がたかく、クライアントのそばにいて口頭でやり取りしたほうが有利です。極端なことをいえば、建築のたとえでいえば安藤忠雄をめざせということです。野球ならイチローです。つまり、マッチョになれと。

ライターであれば、請け負ったものを書くのではなく、自分自身をプロデュースして、自分の名前で売っていくような方向性に舵をきらないといけないでしょう。

もうひとつは、単純な仕事をするクラウドワーカーを雇う側になる。ワークではなく、事業を始めるということです。クラウドワーカーに発注する仕事を作り出すことができるような事業を興すのです。

しかし、この話をすると、「だれもがそんな高度な仕事ができるわけではないし、それはごく一部の成功者だけ」「起業できるのはごく一部」と反論されます。「全員がイチローをめざせなんて、煽るなと」

じゃあどうすればいいのでしょう?

②日本語の障壁をつかう
では、あとは徹底的に日本語にこだわるのも手です。途上国のクラウドワーカーは英語で仕事をしているとおもうのですが、日本語でしか発注できない発注主がおおい日本では、なかなかそれを活用できません。日本語の壁は大きい。

そこで、日本人クライアントだけに絞って、日本語べったりで仕事をする。

さらに、たとえば、翻訳であれば、単純なものではなく、特許の文書や政府の公式文書といったような、クオリティや正確性がもとめられて、日本語の正確なニュアンスがわからないと難しいようなタイプの仕事です。これは単価がたかくても日本人に発注する。

ただ、これは仕事の確保といういみでは有効ですが、仕事がなくならないということと、単価が維持されるというのは相関性はありません。日本人でないとできない仕事でもそこに人が殺到すれば、価格競争が起こります。ただ、途上国と競争するよりはそのカーブは緩やかでしょう。

③移住する
もうひとつの解は、究極の発想の転換です。つまり、あなたが先進国に在住しているという点がすべての元凶です。あなたがインドネシアに住めばいかがでしょう?インドネシアのクラウドワーカーと同じようにするのです。
インドネシアで、安い生活コストのメリットをあなたが享受できれば、得られる報酬はかわらなくても相対的には豊かになります。たとえば、先ほどの表にでてくる報酬でかんがえると、東京にいては毎月20万円以上赤字ですが、インドネシアでやれば、毎月6万円くらいは収益がでて、貯金ができます。
この猶予期間のあいだに、1の高度な人材になるために頑張るというのもありでしょう。
#日本で田舎で自給自足生活をして、年間コストを100万円くらいで納めれば国内にいつづけることもできるかもしれません。
 (日本人でも実際に実際に移住してやってるひともいます。ただあまり外にでてきたがらないのですが。そういうひとの話を聞きたいひとは、私のオンラインサロンのほうでクローズでやってますので、入会して発言してみてください)

④祈る
ここまで危機感をあおっても、変わりたくないという言い訳をならべるひともいます。
「全員が高度な仕事ができるわけではない、才能がない」
「グローバル競争反対!行き過ぎた資本主義は修正されるべき」
「日本に居たい、親や子供の事があるから地元をはなれることはできない」
つまり、何も変わりたくない。行き過ぎた資本主義がわるい。自分はいまのままでも、周りがなんとかして食えるようにするべきだ。
福祉のイデオロギーとしてはよいと思いますが、結果は政府次第です。
寒いのが嫌でも、冬はやってきます。そして準備をしないと凍死してしまうでしょう。

*1 世界中のフリーランスデザイナーの実態を調査した“クラウドソーシング白書2013の第2弾”を発表 〜世界最前線のワークスタイルのリアルをお届け〜

 

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