人生の時間軸を横に倒せ

震災のあと、僕の考えでいちばん変わったのは、人生の時間軸に対するものだ。

幸いにして僕は震災では怪我一つなく、親類もすべて無事であったが、人間何時死んでもおかしくないということを肌で感じたのはこれが初めてだった。
僕が多くの時間をすごしている事務所は築50年くらいたつボロ家で、地震でいつ崩壊するかわからない。

震災前までは、僕の人生設計も多くのひとと同じで、いかに早く、多くを稼ぎ、その後の豊かな人生を謳歌しようというものだった。普通の場合、60歳までしっかりと基盤をかため、定年を向かえる。そのあとは趣味をやり、旅行をし、別荘を買って、今までの蓄えと、年金でくらす。
しかし、これが現実的でなさそうなことは皆うすうす感じている。年金は破綻するかもしれず、世代間で支払う年金と受け取る年金が数千万も違う。企業の寿命が短くなり、ひとつの企業が定年まで存続するか分からない。60で引退するプランをたてていても、結局死ぬまで働く必要があるかもしれない。
前のブログで書いた4つの神話の話のうち、大企業神話、会社にすべてを預ける人生設計には僕は賛同できなかったし、すごく怖かった。だから、グローバル企業にはいって、自分の腕で独立できるスキルを得ようとおもった。そして、外資系のコンサルティングファームに就職した。



しかし、もっといい方法が突然見つかった。起業である。1999年、突然日本にもベンチャー市場ができ、アイデアと技術とユーザーさえいれば、VCが資金を提供してくれて、IPOでもすれば短期間に多くのマネーを稼ぐことが出来るかもしれないのだ。
だから、起業した。24歳の時に勤めていたコンサルティングファームをやめて、仲間3人とベンチャー企業をつくった。起業のストーリーに乗っかったのだ。
目的はただひとつ、誰よりも早く誰よりも稼いで、さっさとリタイアして好きな事をやる人生をおくる時間とお金を作ることだ。大企業で60歳まで待つなんてことはしなくていい。
上手くいけば5年で、その夢がかなうのだ。とにかく、いかに効率良く稼ぎ、引退をはやめるか。これが論点だった。60ではなく50に。50ではなく40に。40ではなく30に。

起業したとき、ぼくは30歳で引退する予定だった(冗談にしか思えないが僕は真剣だったし、実際僕の周りには30前に成功したひとも沢山いるので嘘ではない)

結果として、僕は会社を上場させるという目標はかなわなかったが。

長く書いてしまったが、これらのストーリーに共通するのは、”現役と引退”である。
“引退”をある種のゴールとして、そこまで全力で駆け抜ける。
早く大金を稼げは、60ではなく30で引退できる。そしてそこから、新しい人生が始めるのだ、と考えていたのだ。

あるときまで、全力で仕事に打ち込み、あるポイント(引退)を迎えたら、こんどは全てがプライベートになる。人生を縦に考えると、ある線に達するまでひたすらに犠牲を払い、ある線にたっしたら全部が真っ白になる。それが従来の仕事→引退の考え方である。

その考えが変化するようになったのは実はもう6年以上前のことだが、今回の震災で決定的になった。

僕は、いままで早期の引退を目指していたけど、このままだと引退できない可能性だってある。焦ったのだ。50、60になって引退できなかったらどうするんだ。その時また地震が来て全てを失ってしまったら、何がのこるというのだろう。
そこで固定観念を捨てた。いま、なぜ引退後のライフの果実をえることをためらうのだろうかと。

人生の時間軸を横に倒せ。
引退めがけて突っ走り、ある時から第ニの人生を送るのではない。
自分が過ごしたい第ニの人生を、いまの時間の中に持ってきてしまえ。
60歳まで40年間働き、残りの20年を引退する。この縦の計画を横に倒してみる。

仕事40: 引退時間20

いま週5日働いているとすれば、土日も入れるとちょうど3日半はたらいて、3日半は引退生活をするという計算。これが、僕の言う、人生の時間軸を横に倒すということだ。
そして、やりたいことを楽しもう。

いま、エベレストに登りにいってもいいし、
ログキャビンを作り始めてもいいし、世界一周旅行に出かけてもいい
芸術活動を始めてもいいし、NPO活動を始めてもいい
なんでも、すきなことを始めればいい。
なにしろ、縦のものを横に倒したことによって、人生に順番がなくなったのである。

○○をしてから、○○をする、というのが人生の順番だ。
就職してから、何何をする。
課長になったら、何何をする。
経済力がついたら、やっと結婚できる。
子供が無事大学に入ったら、○○をする。
お金がたまったら、○○をする。
そして・・引退できたら、自分のやりたいことに着手する

これが順番のある人生。つまり縦型の人生。
横型の人生には順番がない。

ビジネス経営をしながら、海外にも住む。
ヒマラヤ登山をしながら、本も書く。
子育てしながら、旅行もする。
お金は、いましかできないことのために使う。

やりたいことと、現役生活を同時に成り立たせるのだ。そして、時間と場所を超えて、好きな事に打ち込む。
これが僕が考えているスタイルだ。
ノマドはそのスタイルにうまく乗っかる。僕がいっているノマドというのは、単に定住していない旅人のことを言っているのではない、人生の時間軸を横に倒し、人生という地図さえもグルグルと今すぐ旅をすることのできる人なのだ。

僕の場合、やりたいことのイメージは、とりあえずつらつらと書くと
・自分の思想を本に書き多くのひとにつたえること、
・出来る限り多くの世界をこの自分の目でみること、それはアフリカの街から、シエラネバダの森から、エベレストの頂上まで、それこそあらゆる場所、
・そして、アートを楽しむ、自分でも作りたい。実は小説かシナリオも書きたい
・少数の気の合う人とワクワクするものについて語り合い、その中からプロジェクト立ち上げ、実際に世の中を変えていくことをする。それはビジネスかもしれないし、ノンプロフィット事業かもしれない。
・そして後に続くひとに僕の経験を伝える。

僕は結婚していないし子供もいないが、もしかしたら子育ても面白いかもしれない。そんなところだ。そして、いろいろと興味は変わっていくだろう。もっとやりたいことが増えると思う。やりたいことは無限にある。それをやりつくすためにも、早くから始めたほうがいい。人生の時間軸を横に倒せ。今すぐ。


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追記:

(誤解なきように書くと、起業自体は死ぬほど面白かった。僕の人生で最良の出来事である。同じく、コンサルティングファームに就職したのも最良の出来事だった、本当に面白かった。そしていまの人生をもっと面白くするためにいま、いろいろ動いている)

追記2:
ワークバランス論とも違います。週3.5働いて3.5は引退と書いていますが、実際のところ、時間軸を横に倒すと、仕事と引退の区別がなくなるのです。一体になるのです。



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