今日はあさから、クラウドソーシングの話がもりあがっています。
新興国などの賃金が安いところに、クラウドソースという話が、日本の雇用についてどういう影響があるかといったようなそういう系のもの。
日本ではそれによって仕事を失っているか、もしくは単価がどんどんさがっていってしまっている人がいて、窮状をうったえています。
これは日本独自のはなしではなく先進国すべてでおこっていることです。とくに言語障壁のないアメリカはひどく、英語ができる大量の新興国の人によって彼らの仕事が毎日なくなっています。
日本の英会話教室にいた大量の英語教師がどんどん失業してフィリピンオンライン英会話におきかわっています。まず最初にこういう代替がおきているのは英語のしごとです。
さて、こういうことがおきると、どうなるか。
先進国の一部の仕事はどんどん単価がさがり途上国水準に近づく
新興国の一部は先進国によりちかい単価でしごとをうけ、どんどん豊かになる
つまり、先進国が貧乏になり、新興国がゆたかになる。世界全体で見ると最適な生産になるので、世界全体の富は増えます。
かつては、仕事が国境に閉じていたために、こういうことはなかったわけです。英会話教師は日本にきて仕事をしなくてはなりたたなかった。
国境を開いたのはいわずもがなIT技術です。ITが世界をフラット化するというのはこういうことです。
これはいわゆるモノの交換、貿易でないことに注意してください。直接仕事が海外にいってしまうのです。これが、グローバル化とよばれているものの本質です。
しかし、個々に問題があります。多くのモノやサービスは国内にとじているため、国内の物価というのは容易にフラットにはなりません*1。日本の物価水準と、フィリピンの物価水準は3倍くらいちがいますが、これがすぐに解消されることはないでしょう。
一方で英会話とかITの開発など、オンラインだけですむしごとは、国境をすり抜けます。
この結果、
○途上国で、オンラインだけで済み、先進国から受注できる人は、
報酬が増え、そして自国の物価はやすいままですから、激しくよい暮らし向きになります
○先進国で、オンラインですんでしまい、新興国のひとに仕事をうばわれているひとは、
報酬がへって、そして自国の物価は高いままなので、どんどん悲惨になります。
簡単な理屈です。
ではどうすればいいか。ひとつは、TPP反対とか、非正規社員を正社員にとかいっているようなひとの方法で、つまり、
・新興国へ仕事が流れるのを食い止める(グローバル化反対)
・政府による価格維持政策をしろ、もしくは価格が下がった分は補助しろ(助成金)
というものです。
しかし、これは孤立をまねきます。日本国政府が無限にお金があれば可能ですが、いずれ行き詰まります。
だからどうすればいいのか、皆悩んでいるということで、答はみつかっていません。
しかし、論理的にかんがえたら、回答はひとつでしょう。
ようするに、仕事がグローバル化によって影響をうけているのに、自分は地元に張り付いているというところに根本のギャップがあるのです。
仕事がグローバル化しているならば、自分もグローバル化するしかない。
つまり、
・新興国に引越し、新興国のやすい物価水準でくらしながら、
・母国から、ネット経由で仕事をもらう。
こうやると、たしかに日本にいたときよりもかなり安い単価になるとおもいますが、それでも新興国のおなじようなことをしているひとよりも、日本人だからということで数倍の報酬はもらえるでしょうし、日本にいるよりも圧倒的に暮らし向きはよくなるでしょう。
欧米ではすでにこうしているひとがかなりの数がいます。もう母国にいたら暮らせない。私がすむベトナムでも、イギリスやオーストラリア、フランスといった国からきた人々がいて、母国からの仕事をネットでうけて暮らしています。こういったひとを、英語圏では<デジタルノマド>、というように呼ぶそうです。私は、オフショアアウトソーシングの逆なので<逆オフショア>とよんでいます。
まだ少ないですが、いずれ、ネットで仕事できる制作系のひとが、大量にフィリピンやマレーシア、インドネシア、ベトナムといったところに移住する日がくるでしょう。
(日本人でも実際に実際に移住してやってるひともいます。ただあまり外にでてきたがらないのですが。そういうひとの話を聞きたいひとは、私のオンラインサロンのほうでクローズでやってますので、入会して発言してみてください)
このようにして、いままでとは別の理由で人が地域を超えて動いていきます。そういう理由で動くひとを、経済学者のアタリは遊牧民から借用して<21世紀のノマド>とよびました。<21世紀のノマド>に注目すると、これからの動きや雇用が見えてくるはずです
●続編を書きました フリーランスワーカーに残された4つの選択肢 http://nomad-ken.com/2160
p.s. 「まずお前が移住してから言えよ」みたいな嘲笑するコメントがありまして残念でした。先入観はよろしくありません。というのも、わたくしは、すでにベトナムに移住しているからです。
*1 こちらのツイートを参考にさせていただきました
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