社員も仕事を掛け持ちする時代

わたし、小説家になるから、会社やめます。

こういう人がいたら、皆どう考えるだろうか。多くの場合は、必死で思いとどまらせるに違いない。
夢を追いたいので会社を辞めるというひとに対して、世間は決して暖かくない。

夢を追うこと自体は悪くはないが、要するに翻訳してしまえば、

「そんなもんで食えるはずないだろう、頭を冷やせ」

ということである。



小説家を目指して実際に小説家で食べられるひとは数千人に一人かもしれない。そんなリスクをとることが果たしていいのだろうか?

しかし、ここでよく考えてみて欲しい。
なぜ、小説家になるのに、会社をやめなくてはいけないのだろうか?どうして、会社で働きながら小説家の仕事も両立できないのだろうか。なぜできないのかについて良く考えてみる必要があるとおもう。


これは、昔から2足のわらじを履くと表現されていたことだが、余り良い意味ではつかわれてこなかった。


多くの会社は、週に5日みっちり働くことが当たり前になっている。
おまけに殆どの会社は、副業・兼業を禁止している。

会社で働くか、小説を書くか、どちから一方だけを選択することを迫っているのだ。
そして、どちらか一本で勝負することがよしとされ、どこかで「会社を辞める決断」をするということになる。このような、どちらか一本に絞る仕事のやりかたは、変化が激しすぎる時代において、リスクを増大させる。

例えば、週3日は会社ではたらき、週2日は小説家として活躍する。そういうポートフォリオを組めば、なにも人生最大の決断をもって思いきらなくてもいい。
これからの時代、2足のわらじを堂々と履く働き方があってもいいと思う。

現在僕の会社では、実際にこういう働きかたをしている社員がいる。社員でありながら週3日で働き、残りは全く別の仕事で収入を得ている。ベースの給与は3/5になるだけで、フルタイム換算の給与水準は変わらない。そして、成果部分を大きくして、週3日の労働で、5日分の成果なり売上をだしたならば、その分は払う。労働生産性を自分で上げることができれば、豊かになれる仕組みを採用している。そして、残りの2日間は、学校で教えたり、教育事業をしたり、別の仕事で別の展開をしている。

ハイブリッド型社員制度というふうに僕は言っている。単なる時短ではなく、ワークシェアではなく、2つの会社の社員を掛け持ちして、彼は、合計では週5日働いているのだ。

これは、会社の経営者にとっても良いことだ。私のところのような小規模の企業では、不況の影響をもろに食らうと、たいへん厳しい。
週5日分の給与を保証してくれといわれたら、それだけ期待も高くなるし、不況の影響で売上やパフォーマンスが下がったら、解雇せざる得ないことも出てくる。ならば最初から3日で契約しましょうというのもお互いにとってメリットがある。会社はリスクを少なくできるし、社員にとってもそうだ。

仕事の掛け持ちはネガティブにしか捉えられていなかったが、
今後の不安定な世界では、掛け持ちのプロフェッショナルな仕事をポートフォリオで組むことが、ひとつのリスクヘッジになるだろう。一つの仕事がダメになっても、収入がまったくゼロになってしまうことはないのだから。それに、何しろ、楽しい。一つのことに縛られず、気分の転換になる。

もちろんフルタイムで一つの仕事に打ち込むことのほうが効率はよい。そちらのほうが早く成長するだろう。だが、その仕事が時代遅れになったり、不況の波を被ったりした場合全部が陳腐化する可能性がある。

投資の言葉で、「すべて卵をひとつの盆にもるな」というのがあるが、仕事についてもそれがかんがえられないだろうか?
幾つかの仕事を掛け持ちし、ポートフォリオで考える。

僕の場合はどうかというと、主なところで2つの仕事をかけもっている。
一つは、自分の会社の経営。もう一つは、作家活動をしている。
それに加えて、現在もう一つの会社の役員を初めて、また別のビジネスも考えている。
あるビジネスのアイデアが、他のビジネスにヒントを与えたりして、思わぬシナジー効果が発揮できるということもある。それに、時間が足りなくなるので、その結果、自己改革を迫ることになり、生産性や効率を上げようと工夫することになり、実際に生産性は上がっている。

経営者はいろいろと掛け持ちしていることが多し、それは多才といわれて褒められることだ。
しかし、これが社員となるとそうならない。
僕は、社員も仕事を掛け持ちする時代だと思う。

もちろん、会社が全部を面倒をみるような依存性の高い形で掛け持ち社員は難しい。
ただ、いまフリーエージェント化や、個人として活躍する人をあつめて都度プロジェクトチームを形成して仕事にあたるような形態も、すこしながら実際に立ち上がってきている。
そのような中に、新しい働きかたがあるのだと思う。

起業や会社を作るということではなく、個人として、ハイブリッドに複数の仕事を持った社員。
この形態はノマドと親和性が高い。そして閉塞感のない、わくわくした働き方を実現出来る予感がある。

新しい可能性を僕はそこに見ている。
僕は、2足のわらじを堂々と履ける世の中を目指したい。


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