「セルフ・オフショア」というライフハック

先日のエントリ「海外ニートという怪物」がかなり反響があったので、このエントリの背景ある理論を健全に発展させて、すこしまとめてみます。
海外ニートの根本にある仕組みは、
・強い日本円で稼ぎ、
・弱い現地通貨で消費することで、
・稼ぎがすくなくても暮らせる
という仕組みです。

このためどういうスキームを組むかというと、
・自分が海外に住み
・リモートで日本の仕事をする
ということです。
いままで、リモートで日本円を稼ぐことは、資産運用(株、不動産)くらいでしかできませんでしたが、それがITとネットの発達で、多様な職種・サービスでそれが可能になった。
そこに革命的な意味、本質があるわけです。
この行為を、名付けて「セルフ・オフショア」といいます。
詳しく説明しましょう。
もともとのオフショアの意味は、人件費の安い海外に会社のコアでない業務をアウトソースするというような意味で使われていました。
オフショア・アウトソーシング、ビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)といった言葉が、企業経営の中では頻繁につかわれています。
工場の海外移転に始まり、近年では経理やIT、コールセンターといった間接部門までもが海外の人件費の安い所でオペレーションされています。
事例を上げると、企業ではこのような使われ方をしています。
コールセンターの例をあげて説明しますね。
20の子会社があるような企業グループがあるとします。それらの会社の電話サポートセンター(コールセンター)は、大概の場合、それぞれの会社が独自にコールセンターを開設していました。それぞれに人を配置し、拠点をつくり、IT投資をしていました。20社バラバラに。
コールセンターというのは業務的には電話をうけるということなので単純です。これを20箇所バラバラでやってたら、効率がわるい。そこで、まず考えるのが集約です。
20個のコールセンターを1箇所ないしは2ヶ所にまとめてしまします。そしてそこに集中投資する。
すると、共通の設備、人員、IT投資で済むので、稼働率もよくなり、それだけでコスト削減効果があります。これをシェアード・サービスといいます。
さらに考えをすすめて、この集中コールセンターをまるごと、人件費の安い海外に移転させてしまう。例えば、日本企業の場合だと、大連です。日本の1/3とか1/5とかのコストで人が雇えます。
さらに推し進めた考えでは、この海外コールセンターを自社で運営するのではなく、コールセンター専門のアウトソース会社に丸ごと移転させてしまいます。コールセンター専門のアウトソース会社は複数の企業の案件を引き受けているので、さらに規模が拡大でき、稼働率があがり、さらにコスト競争力がでるのです。企業側は大きなコストメリットを享受できるうえ、柔軟に規模を拡大縮小でき、固定費を変動費化できます。
これらの経営手法をビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)といいます。
2000年代から急速に広まり、ITの力を借りてコンサルティングファームが主導し、いまや看板メニューとなっている経営手法です。
私はかつて勤めていたアクセンチュアでは、2000年ごろに、労務管理部門が日本からなくなり、中国に引っ越してしまいました。さらに、ITサポート部門もなくなり、PCのトラブルなどがあると、大連のサポートセンターに電話をかけるということになりました。

いまやこんなの当たり前。パソコンのDELLに問い合わせをすると、中国のどこかに繋がり、中国人が日本語で販売・サポートしてますね。10年でがらりとかわったのです。

もちろん、いままでもそういう発想はあったのでしょうが、なにしろ物理的に離れているところでやり取りをするのは難しかった。電話とFAXの時代ではちょっと無理。
2000年代になって、高速インターネット回線が利用可能になり、ITによる業務プロセスの統合技術が生まれて、これらのBPOが可能になったのです。

ちょっと前置きが長くなりましたが、企業が利用しているこれらオフショアアウトソーシングの恩恵を個人で受けられないのでしょうか。

そこで、考えたのが、この構造を発想を逆転することです。
これが、セルフ・オフショアの基本コンセプトです。

仕事を国外に外出しするのがオフショアアウトソーシング。
セルフ・オフショアでは、仕事は国内に残し、自分がオフショア地に引っ越してしまう。

つまり、収入源は、国内に残し、日本の仕事をリモートで仕事をして円建てで稼ぐ。
そして、稼いだ円を、現地通貨で消費する。つまり、バカ安な現地の生活費で消費するわけです。

たとえば、マレーシア、フィリピン、タイなどの日本とくらべ生活費が1/3の地域にすめば、可処分所得が一気に3倍。もしくは、いままでの1/3の収入(または1/3の労働時間)で、いままでと同じ生活水準が保てるわけです。
円と現地通貨の差額をねらったレバレッジな取引です。

途上国の駐在員が超リッチな生活をしているのと同じ仕組です。彼らは、日本円で日本本社と同じ給与をもらい、現地の生活水準で暮らしているのですから、凄まじいレバレッジがきいています。もはや王様のような生活ができるわけです。

いままでは、まさにこういった駐在といった形でしか日本円を稼ぐことはできませんでした。それがネットの普及により、場所がはなれていてもコミュニケーションができ、対面でなくても仕事ができるようになりました。まさに革命です。

ぼくはここ2年、とくにスカイプが十分普及した2010年くらいから、このスタイルが本格的に可能になってきたと感じています。最大のネックだった打ち合わせが個人ベースでもスカイプのビデオ会議機能で可能になったからです。

そもそも、僕自体、日本にいても、オフィスにいて、ネットを使って仕事をしていて、ひとと対面であうことはそれほど多くはありません。うちのスタップも在宅が多く、会議はスカイプでおこなっています。ですから、別にオフィスが国内でなくても、ネットさえ繋がっていれば、どこでも変わりないことに気づいたわけです。なので、実際ぼくは海外にいながら執務してることもしばしばです。昨年より、いろいろ実験してみましたが、特に問題なく仕事ができています。

個人ベースでできて、ネットと電話さえあれば場所を選ばない仕事の方は、これに向いています。
たとえば、デザイナー、プログラマー、作家、ライター、アーティスト、翻訳者、カウンセラー、ヘッドハンター、その他フリーランス的職業などなど。

これらの職業のかたは、思い切って、セルフ・オフショアをやってみてはどうでしょうか。
生活水準が一気に2-3倍に跳ね上がるはずです。
海外ニートは沈没的なイメージがありますが、セルフ・オフショアな生き方は経済的に独立し自由な時間と移動の自由を得たオルタナティブな生き方の提案です。
ノマドという言葉も、単にカフェで仕事するという発想を超えて、カフェを世界にまで発展さえて捉えると、いろいろ見えてきます。これは、世界を駆け巡るハイパーノマド的なものに発展し繋がっていきます。

そして、いまの時代は、個人の力で稼ぐことができれば、かつて無い圧倒的な自由を得られる素晴らしい時代だということがわかります。

全くの夢想のように思えるかもしれませんが、僕は、実際これに近い生活をしている人を何名も知っていて実例がすでにあります。(羨ましすぎて妬みをかうので、みなさん積極的には語りたがりません。それほどの裏技なのです)

たかが国境を超えて、自分を移動するだけで、いきなり生活水準が数倍になる。
これはどう考えても現代のグローバル時代の摩訶不思議の一つです。

モノの経済や労働がいまだ国境にとどまっているのにたいして、ネットは国境を超え、マネーも自在に交換・移動でき、そして、最後は人も移動しようとおもえばちょっとの勇気で移動できるようになりました。

いまの時代において、国境と、金を稼ぐ手段と、通貨がアンバランスで歪みがあるため、このような「引っ越すだけで生活水準が3倍」といった取引が可能になるのです。

この状態はしばらく解消はされないでしょうが、20年後はどうなっているかはわかりません。想像がつきませんが、 いま、ようやくこの禁じ手はできるようになったのですから、ほんとに禁じ手になるまえに、しばらくこの矛盾を使ってみるのも良いかもしれません。

それは、決してズルということでなく、国家や国境、お金、労働、価値、といった近代の諸概念にたいして強烈な矛盾と疑問を投げかけることになる行為であり、その矛盾から新しいうねりがでてくるものだと考えています。


<ビザについて>
なお、ニートとは違い、それなりにアクティブに活動するので、観光ビザで長期滞在というわけにはいかないかもしれない。ただ、東南アジア諸国は、就労(雇用される)ことを前提としなければ、格安で永住権を容易している。これらを利用するとよい。
たとえば、フィリピンの場合、容易に永住権が取得できる。

その条件は、35歳以上であれば、米ドルでフィリピンの銀行に定期預金を組むだけ。
・35歳以上49歳以下 5万ドル
・50歳以上 2万ドル
この資金を6ヶ月預入しておけばよく、その後は引き出して、不動産や株式に投資することができる。2マンドルなら、わずか160万円程度。39歳以下でも400万円です。スキルあるフリーランスなどにとっては、現実感あふれる数字になっています。

または、ニート版ではなく、フリーランス版のシェアハウスを作る構想もありです。セブ、バンコク、クアラルンプール、(シンガポールも出来れば)にそれぞれコワーキング&シェアハウスを作り、月3万円くらいの家賃で、フリーランスの人が行き来できる拠点です。年会費36万円で、世界の数カ所に生活&仕事の拠点が作れる。題して「ノマドハウス」構想を今、考えています。

【ノマド研究所5期会員募集のお知らせ】人生は短いです。あーやりたい事があるのに、何か思い切って一歩を踏み出せない自分にいらいらする、もっと自由に生き見たいのに。ノマド研は、ノマド的な生き方を志向するひと、ノマド的な生き方を実践するひとのネットワークです。400名以上の価値観のちかいメンバーと一緒に語らいましょう。⇒ご案内