世界同一賃金のウソホント。ユニクロ店長の仕事は、決して100万円に均一されない

ユニクロが世界同一賃金というのを導入というので話題になっているので、私も遅くなったが簡潔に分析を。

世界同一賃金という考え方は、ある。

これは、世界で同一賃金にしたい、という願望ではなく、市場原理がそうさせている。

簡単にいうと、世界のどこでやってもいい仕事は、世界の相場で賃金が同一になる。

世界のどこでやってもいい仕事、移動できる仕事は、グローバルに一物一価に収斂するということ。

大収斂(グローバルでの価格収斂)とよばれる現象だ。これは、賃金でも例外ではない。

たとえば、ヘッジファンドなどはその典型で、かれらは世界のどこで仕事をしようがかまわない。どこでも仕事をしていいのだから、世界中からその仕事ができる人材があつまる。

ヘッジファンドマネージャーの給与というのは、成果報酬で20%程度ときまっている。インド人だろうが、イスラエル人だろうが、米国人だろうが、中国人だろうが、その報酬はかわらない。そしてかれらが、本拠地をロンドンにおこうが、NYに置こうが、ケイマンにおいて、実際は香港で仕事をしてようが、モナコあたりで仕事をしてようが、どこで仕事をしていても同じ給与水準だ。

ユニクロの経営陣のような、世界トップクラスの経営人材というのも、相場がきまっている。年収2000万とか3000万では絶対にきてくれない。世界トップのCEOを雇おうとすると20億とか30億とかのお金が必要になる。

要するに、プロのスポーツ選手と一緒だ。世界のどこでも活躍出来る人は、世界の最高水準(たとえばメジャーリーグの給与)水準にむかって、報酬は収斂する。

これは、下ものほうも一緒だ。世界のどこでもできる単純作業(単純な組立工場)というのは、世界でもっとも賃金が安い場所にむかって移動し、賃金もそれに収斂する。

私の最新刊でも書いたが、これからの仕事は、世界のどこでやっても構わない仕事というのがキーワードになり、それは、高度な頭脳労働の部分と、単純作業のふたつ。つまり上と下が、国の中にとじこもらずに、外にでていって、世界の賃金水準にあわさっていく、ということだ。

(そういう流転し、移動する仕事を”ノマド業務”と定義しているが、ノマドがつくと反射的にディスりたくなるひともいるので、そういうひとは脳内で適当に他のことばに変換してほしい)

なお、世界のどこでやってもいい仕事がある一方、国内でしかできないしごともある。
店長のというのは、実は、絶対に国外に流出しない職業だ。グローバルな競争や、グローバルな賃金にあわしていくような競争にまきこまれたくないなら、徹底的にドメスティックな仕事につく必要がある。

ドメスティックな仕事とは、つまり、世界のどこでもできるのではなく、日本にいないとできない仕事のこと。つまりサービス業全般であり、介護だったり、飲食店だったり、マッサージ師だったり。

店長の仕事もそうで、店舗での販売の仕事は当面なくなりそうもない。そして、日本で雇用されている以上、日本で生活できないようなレベルの賃金では人はあつまらない。
ユニクロは、店長の仕事も100万円で統一すると言っている。これは、ムリである。日本国内の仕事なのだから、日本国内で、最低でも生活できるような賃金ははらわれる。250万とか300万くらいだろうか。

低い?それはまた別のはなしである。
よく誤解されるのだが、
「日本に必ずのこり、今後も、国外流失しない職業に就きたい」
という人がいる。そういう仕事は必ず、ある。何度も言うように、店長や、看護師、マッサージ師など。そして、その水準は国外の影響は受けない。
だからといって、その仕事が、国内の他の人にくらべて高いものがもらえるかというとそうではない。そこは勘違いしやすい。
最後まで国内での雇用はあるが、その賃金が、他の職業よりも高いという保障はどこにもない。

<参考書籍>

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界
ジャック・アタリ
作品社
売り上げランキング: 9,401

ノマド化する時代 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

アタリの本は難しいので、噛み砕いて、仕事の移転やそれにともなう労働力の移転、賃金の収斂現象について、わかりやすく解説している。本書の1章「アタリのノマド論」、3章「ノマド化する業務とノマド民の大移動」の部分がそうである。

 

 

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