評価経済というオカルト

池田信夫氏風に、今話題の評価経済について解説するナリ。

芸能人やスポーツ選手は、トップ数名が莫大な額の報酬を得るのにたいして、他の多くは微々たる報酬しかえられない市場だ。時にその差は数百倍にもなる。
一方で、配線工などは、トップ配線工と普通の配線工に何倍もの違いはでない。
なぜこのような事が起こり得るのかを分析したのが、ローゼン教授の「スーパスターの経済学」である。

一部のスーパースターが莫大な報酬をえる市場を、スーパースター市場と呼ぼう。
その市場には、2つの特徴がある。
一つは、スーパースターの提供サービスは限界費用が低いということだ。配線工は100万人にサービスを提供することは不可能だが、マイケルジャクソンは100万人にコンサートを中継でき、視聴者がひとり増えてもコストはほとんど増えない。
もう一つは、代替できないということだ、あるスーパースターは、別のスーパースターでは代替できない。AKBファンは、同じスターだからといって、KAT-SUNを見ても嬉しくないだろう。

大前研一氏は、

「多様化の時代に選択事項が増えるほど、選択がさらに難しくなって、メガヒット商品が登場する」
「ITの発達に伴い、専門経営人、医師、弁護士、コンサルタントなどの世界でもスーパースターが現れている」

という現象を指摘している。
つまり、音楽やスポーツといった伝統的なスーパースター市場の他にも、多くの市場がスーパースター市場の傾向を帯びてきているということである。

この市場の中では、トップ数名のみが莫大な報酬を手に入れる。そのために名声・評判をえる必要が出てくるが、さらにIT技術の発達で、従来のマスメディアなどに頼らずとも、ネット上の口コミなどの蓄積で、スーパースターが誕生する事例が増えている。

・市場のスーパースター化
・スーパースターを生むプロセスのネット化

という2つの現象が同時におこっているといえよう。

評価経済うんぬんの話、評判・評価を蓄積することが大事だというのは、後者のスーパースターを生むプロセスで、ネット上の評判・評価がその起爆剤になることが多くなっているということを言っているにすぎない。

ネット上の評価形成は、従来のマスメディアをつかったスターの育成に比べて、ほとんどお金がかかからず、しかもセルフプロデュースで出来る。
昔は普通の人が評判を稼ぐ手段はなかったが、ブログやツイッターといったセルフメディアを持つことができ、それらで自己を演出することで、評判や評価を得ることができる。
この仕組みのお陰で、とりわけ評論家、ジャーナリスト、IT経営者などでスーパースターが登場した。

今おこっていることは、誰もがスーパースターを目指して、No1の名声を得ようとネット上で躍起になるゲームが繰り広げられているということだ。ご存知のようにその競争は評判形成というより、売名競争に近い。IT化によって、芸能界だけだった競争のルールが、我々庶民の域まで降りてきてしまったということにほかならない。

評価経済というのは単に上記の現象のことを言い換えたに過ぎないが、これこそ過剰に評価され、ほとんどオカルトのような言説も見受けられる。

例えば、評価資本を蓄積すればお金に変換できるというものだが、これは交換所でパチンコの玉を現金に変えるようなイメージで語られている。
これをもって、評価さえあれば現金が不要になるとか、資本主義経済は評価経済にとって代わるといった話まででているが、これはまさにオカルトだ。

ローゼン教授は、評価を得たスーパースターなら、自分のサービスやコンテンツを、競合より高い価格で販売できるため、結果として何百倍もの報酬差が生じることがといっているだけである。評価が交換所で交換出来るわけではない。結局自分のサービスやコンテンツを売らねば現金は手に入らない。

それに、評価をつかって商売できるのは、スーパースターだけである。普通の人が少々の評価を得ても、その評価はなんの役にもたたず、ほとんどの2流お笑い芸人の給与がアルバイト並なのと一緒で、彼らのコンテンツやサービスの対価は業界の底辺をさまようだろう。

ホリエモンなら800円のメルマガを1万人に売れるが、或る人がフォローワーを1000人あつめたところで、せいぜい100円くらいで1,2人がメルマガ読むだけだろう。

評価を得るといって、シェアハウスの生活をネットで公開しているような人もいるが、これはまさに売れない芸人がやっていることと変わりがない。芸人間の競争は激しく、芸人の寿命が短いことは知られているとおりだ。

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