評価経済とはなにか?について諸説を取り上げて整理整頓してみた

ここのところ、評価経済という言葉で盛り上がっているので、ここで、評価経済とう言葉がネット界隈でどういう意味でつかわれているのかということを整理したい。

評価経済の意味というのは、およそ、こんな感じで捉えらている

「お金より評価を得るほうがこれからの時代は良くて、評価は評価ポイントみたいな形で可視化されるようになり、さらに、そのポイントをつかったり交換することで、評価によって生きていける。そして、貨幣経済はすたれ、評価が流通する評価経済社会が訪れるだろう」

という感じ。
これは岡田さんがインタビューのなかでいっていることなので、ほんとうにこういうことをかんがえているのだろう。


この捉えられ方をもっと細かく段階をおって分析しよう。

1)評価を得た人が有利に働くという法則が支配し始める

2)評価がポイントのような形で可視化される

3)評価資本を担保に個人通貨が発行され流通する

4)個人通貨が貨幣よりも便利になる

という段階がある。
わたしは1は、一定の業態や市場において正しいと思っているが、2~3はオカルトだとおもっている。

くわしく説明しよう。

1)評価を得た人が有利に働くという法則が支配し始める

これも解釈がいろいろあってややこしい。

まずは、1-1の解釈: 知識資本というゲーム
資本のの蓄積よりも、評価を得た人のほうがゲームを有利にはたらかせられるということをいっている。これは正しい場合もある。

食料の生産は労働集約であり、半導体の製造は資本集約のゲームである。多くの3次産業は、知識の集約のゲームであり、知識や評判を多く得たものがゲームに勝つ。
製造業も、中国の安いテレビなどは別として、iPhoneなどのように、クリエイティビティやブランドが競争の源泉であるという世界も出現している。

製造業を含めて、多くの市場が、知識のゲームに移行している。
これらの競争のなかでは、いくら資本を蓄積してもそれだけでは勝敗にならず、知識やクリエイティビティがキーとなる。

こういった論は、古くはアルビン・トフラーや、ドラッカーも言っているし、ダニエル・ピンクも「クリエイティブクラスの世紀」ということで、こういった現象を表現している。なにも評価経済なんておいう言葉を使わずとも、資本主義経済のなかの現象としてマジメに議論されている。

ただし、すべての産業、すべての人にとって評判が大事になるわけではなく、知識集約産業においてという注釈をつけておく。

これが、最もコンセンサスのとれている、狭義の評判による経済だといえよう。

1-2の解釈: スーパースター経済学
関連することで、スーパースターの経済というのがある。これは評判が高く知名度のあるひとは、通常の人よりも、高い値段でサービスや商品を販売できるので、結果として、スーパースターは、普通の人にくらべて莫大な富をえることができるというものである。
スーパースターの経済という題名で、経済学者のローゼンが定式化した。

お金があっても、ブランドや信用は変えないが、
ブランドや信用があれば、マネタイズは容易なので、
どっちかくれるといったら、ブランドや信用のほうをもらったほうが得だという話もある。

スポーツや音楽といった市場だけではなく、医者やIT、プロ経営者という市場がスーパースター市場化してきており、それらの市場では評判を集めたものが莫大な富をえるという現象がおきている。

1-3の解釈: 贈与経済、ボランタリー経済

これは、1-1や1-2と同じようでけっこう違う。好意によって成り立つギブアンドテイクがもっとたくさん起こるようになって、たくさんギブしたひとは、帰ってくるものもあるよね、ということ。

岡田氏がいう、
・クックパッドのレシピを提供するみたいなことも、評価を上げたら、本を出してデビューできる。
・評価が高い人は定価より安く、あるいはタダで食べていってよという動きになる。


というのが、一例だが、これはどちらかと言うと、スーパースター経済ぽいかもしれない。


・ネット上でいつも楽しい話題をしているひとが、ちょっと生活に困り、食料をおくってほしいといったら、無名のひとから、お米がおくられてきた
・ニートのphaさんが、iPadがほしいとつぶやいたら、iPadがおくられてきた。


といった現象だ。これによって、信頼さえ厚ければ、贈与してもうことで食べていけるという説で、乞食のネット版だ。乞食というのは言葉がわるいが、乞食とは施しをえるということで、徳の高いひとしかできない。言い換えたほうがよければ、善意のお布施、献金、寄付の現代版といえる。


なお反論としては、マザー・テレサレベルの人なら成り立つけど、ちょっと善意があるひとレベルでは、もらえるものはたかが知れているというツッコミがある。


1-4 自分クラスタ経済圏、マイクロ経済圏
これは、自分のファンや取り巻きをつくって、そこからマネタイズするという手法と捉えられているフシもある。ニコ生でファンが100人いたら、それらのファンにたいして何かを提供することで、食っていけるという。落語一門をつくり、弟子からカネを貰って生活をするのもこのモデルだ。これは、自分my経済圏を作ってしまうということで、岡田氏が、僕達の洗脳社会でいっていた、自分クラスタをつくり、お互いに洗脳合戦するというのは、こういうことだ。


このモデルは、純粋にボランタリーなのか、それともスーパースター市場のミニ版なのか、よくわからない。既存の経済のマーケットを小さくしただけという捉え方もできるので、むしろ、マイクロ経済圏といったほうがいいかもしれない。


例としては、
MG(X) ・・・・・100人の会員から月1000円を徴収するクローズコミュニティ
俺メゾン・・・・3000円でファンに俺グッツや情報などを販売

AKB経済・・・・特定のファン層を囲い、グッツなどの上納金で稼ぐ
落語・・・・落語家はどこかの一門に属し、弟子から会費(上納金)をはらって修行する。

2)評価がポイントのような形で可視化される

これは、岡田氏がインタビューのなかで、
現状であるのは、ツイッターのフォロワー数とか。あとフェイスブック、ツイッターなどの数値などの数値から算出した「クラウトスコア」
と述べているようなものだ。
フェイスブックのイイねの数がその人の信頼指標になったり、ツイッターのフォローワーが多い人が信頼されるといった指標である。
知恵袋ポイントみたいなものもそうだ。知恵袋への貢献度がポイントとして見える形になっている。


その人のソーシャルネット上での活動がすべてポイント化されて、どれだけ評判があるひとかというのが可視化されるというようなことをいっている。


3)評価資本を担保に個人通貨が発行され流通する

これは、個人がお金を発行するということだ。
岡田氏は、

例えば1時間岡田円を1万円で発行したとする。それは僕の信用によって成り立つ。
そういう個人で通貨を発行するのは、これまでできなかった。
でもハイパー情報社会では、それら全てをクラウドのコンピューターがやってくれる。



ということで、個人がお金を発行する未来を描いている。
個人通貨など普通は欲しくはないとおもうが、評価ポイントが高いようなひとは信頼がおけるので、その人が発行した通貨は信頼できるということなのだろう。そして、信頼が高い人は個人通貨を発行できるので、すきなものがなんでも信頼を担保に手に入る、といったことをいっている。


この段階をもって、評価さえ蓄積すればそれをお金のように使って食べていける、ということが成り立つのだろう。評価経済でたべていけるとはこのことを指すようだ。


評価マネーを持ってないひとは、ますます窮地にたたされるとまでいっている。


なお、仕組み的には、肩たたき券が流通するのと一緒であり、イサカアワーという地域通貨がそれに近い構造をもっている。


4)個人通貨が貨幣よりも便利になる

岡田氏は、

貨幣は、今の学歴と同じ程度の意味になる。
ただ、評価通貨を使ったほうが、使い勝手がよくなる。カネを使うのは、評価ないやつが、仕方なく、補助的に使うようになる。

といっている。


私は、1のみを狭義の評価経済といっていて、2~4は拡張された評価経済と呼びたい。


ひとによって、1~4のどこの部分を評価経済社会とよんでいるのかまちまちなので、議論をしていてもさっぱり咬み合わない。ということが、今日わかった。


ツイッターなどで、評価経済がキターとかいっているひとのツイートを読むと、1~4までひっくるめて、「評価で食える社会」が評価経済社会だと考えているようだ。


僕の考えでは、
1のうち多くの部分は割合真剣に議論されているが、与太話もある。
2~3は現時点では岡田さんの夢想、オカルトだ。


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