ガラパゴス化する「グローバル人材」 – グローバルタレントではなく独自のグローバル人材を欲する日本企業

日本企業で言われているグローバル人材ってなんだろう?
今回あらためて考えてみた。

考えれば考えるほどこの”グローバル人材”とやらは珍妙で、おかしなものに思えてくる。
とりわけ、「グローバル人材の育成が急務」というのはどういうことだろうか?

日本がグローバル人材を求めているがなかなか見つからないという話を、海外の友人に話すと、すごく不思議な顔をされる。

「3ヶ国語話せてビジネスできるグローバル人材なんてシンガポールに沢山いるよ。若くて優秀なアジア系の人材がいるから、そういう人を採用すればいい」

という。まさにそのとおりなのだが、実はそうはいかない。
どうも、このグローバル人材というのが、日本独自の「グローバル人材」なのだ。
グローバル人材の定義もガラパゴス化しているのだ(笑)

おそらくこのグローバル人材というのは、英語の  global talent の訳語だとおもわれるのだが、global telent とグローバル人材は定義がだいぶ異なる。

global talent とは、それこそ、世界のどこでも通用するような才能をもった人材だ。
経営者でいえば、ジャック・ウェルチやルイス・ガースナーのような人、皆が知っているところでは、スティーブ・ジョブスやマーク・ザッカーバーグといった起業家、世界中で通用するリーダーである。
これが世界で共通認識のglobal talentだ。

日本人にはこういうひとがいるか?
いない?

いや、経営者、起業家以外に目をむければ、結構、global  talentは存在する。

国連の緒方貞子さんや、コンサルタントの大前研一氏、などは日本を代表的するglobal  talentだ。
技術、芸術分野を見渡すと、日本人のgrobal talentは目覚しい活躍をしている。
指揮者の小澤征爾建築の安藤忠雄美術家の村上隆氏といったところは世界の誰もが認めているし、科学者でも中村修二氏をはじめ世界のどの大学からもお声がかかる人がいる。
それこそ、スポーツ分野でいえば、メジャーリーグで何人も選手が活躍しているではないか。


日本人にもglobal telentは一杯いるのである。
これらの人の特徴は、個人として、世界の何処からも欲せられる経験や技能をもっていることだ。まさにglobal talentの定義そのものだ。


日本企業がほしいものが、grobal talentな経営者なら、そういう人材は世界の人材マーケットで沢山転がっている。下手すると社長ですらこういう人材プールから雇ってこれる。

ただ日本企業がいうグローバル人材が欲しい、とはこれとは文脈が違うことは明らかだろう。
日本企業は、実は、本当のglobal talentは欲しくないのである。
日本企業になじまないし、日本企業のやり方とも違うから、採用できないのだ・・

日本企業のグローバル人材とは、端的に言ってしまえば

日本企業の海外事業や、海外でのオペレーションを管理できる人材

ということになる。
つまり、あくまで、日本企業内での人材なのだ。

しかも・・日本企業内にいて、本社の意向を汲みつつ、日本の力学を理解しつつも、海外では大胆にタフに活躍できる人材ということになる。
日本の企業の文化に馴染みつつ、外国語に堪能で、現地の文化やビジネス事情もわかる。
こんな人材は世の中に、居るわけがない。
日本組織のやり方でやってもらわないといけないから、超優秀大学を卒業し、3ヶ国語を話し、中国の事情にもくわしい優秀な中国の大学院生も雇うこともできない。


代わりに、海外赴任に抵抗感のないすこし英語の得意な日本の有名大学の大学生を雇い、英語と中国語を習わせ一生懸命、独自に「育成」しているのである。

千代田建設工業では、新人社員研修で全員をカタールに研修にいかせているという。
日立も2012年からは新卒社員は海外赴任を前提に採用するという。
NECも、新卒社員をいきなり海外派遣させるこ


新卒を採用し、海外で育て、海外の拠点に派遣させるのだ。
そうして育成するというのが、日本企業の絵描くグローバル人材戦略だ。

本当のグローバル企業は全く違う。
私がかつて所属していたコンサルティング会社は最先端のグローバル組織だった。
人材は何人でもよく、国籍は問わない。全世界で人事制度(キャリアパスと昇進基準)が統一されており、査定の仕方も一緒だ。ヨーロッパのプロジェクトで日本語がわかる人材が欲しければ、日本人が駆けつけて手伝うこともある。仕事のやり方は世界でほぼ共通になっているので、現地のやり方といったことを教える必要がない。飛行機でついた翌日からプロジェクトに参加することができ、すぐ機能する。


つまり、仕事のやり方や組織の仕組み、人事の仕組みをグローバルで統一し明確にすることで、広く世界中からglobal talentを採用し活かすことができる。
これが本当のグローバル化である。だから、海外事業の展開も早い。

日本企業は、市場にグローバル人材がいないから、新卒で学生を採用し、20代のうちに海外に派遣し、グローバル人材を育成しようとしている。
こんなスピード感で間に合うのだろうか。
グローバル人材の話を聞くとき、根本的に抱く違和感はこのあたりにある。


⇒ 記事に共感いただけましたら、tykのツイッターもフォローくださいませ!
⇒ グローバル化、キャリアについては、大石哲之の有料サロンtyk projects で議論・事例を研究しています。


【ノマド研究所5期会員募集のお知らせ】人生は短いです。あーやりたい事があるのに、何か思い切って一歩を踏み出せない自分にいらいらする、もっと自由に生き見たいのに。ノマド研は、ノマド的な生き方を志向するひと、ノマド的な生き方を実践するひとのネットワークです。400名以上の価値観のちかいメンバーと一緒に語らいましょう。⇒ご案内