決定版:ノマドの用語の混乱に終止符を。原語から紐解く5つのノマドの定義

ノマドがさらに混乱しているので、ここで本格的に整理してみることにする。ノマドの定義に終止符を打つ決定版としたい。

ノマドノマドとはいうけれども、まだ、ノマド=フリーランスと定義されていて、ノマド批判派からは、それじゃ、”フリーランス”でいいじゃん、”独立”じゃダメなの?と揶揄されている。
しかし、本来ノマドと言う言葉をたどると、かなり広い概念を指しているものと思われる。
いったいノマドとはなにか?
そこで、ノマドの類似語から、ノマドの意味の広がりをすこし探ってみる。日本で言うノマドというのは、英語でいう次の1~6のものをまとめてノマドといってしまっているかもしれない。


1 Freelance
いま日本で多くの文脈でつかわれているノマドや、ノマドワーカーとはフリーランスにそのまま置換しても意味が通る。
さらに、単に会社を辞めた人、脱サラも、ノマドといっているフシがある。
自分で会社を経営しているひとはノマドとはいわないあたりからして、つまり現状の”ノマド”という言葉は、なにより第一に、会社組織からの自由に力点をおいた言葉だといえよう。
「フリーエージェントの時代」というベストセラー本があるが、これも、組織に属さないという文脈が主眼になっている。この本を紐解いて、ノマドといっている人もいる。

組織からの自由がフリーランスの主眼だ。だから、フリーランスといっても、実際は、労働時間はかなり多かったり、もしくはフリーランスといてても要するに下請けで週5日客先に通う契約だったりして時間と場所の束縛感は会社員的とあまり変わらなかったりする人もいる(旧態依然としたフリーランス)。

2 Digital Nomad
アメリカでは、ノマドというとき、Digital Nomadという言い方が普通だ。デジタルノマドは、デジタル機器を利用して、場所に依存せず働くという、場所の自由を得ているひとだ。
え、それじゃ「カフェで働くフリーランス」でもいいじゃん。一緒じゃん?
ちがうちがう、フリーランスの言い換えのノマドが会社組織からの自由に力点があるのに対して、こちらのデジタルノマドは、場所に依存しないというところに力点があり、会社員のデジタルノマドも存在する。ただ、フリーランスの働き方と相性がいい。

それに本場のデジタルノマド達は、カリブ海とか、東欧の街とか、バンコクの繁華街とか、カナダの湖畔とか、ケープタウンの小高い丘とか、フィリピンのビーチとかほんとうに自由な場所で働いている。海外にロングステイし、生活をエンジョイしながら働くのがデジタルノマドのトレンドである。東京の都心のカフェで働いているようではまだまだ甘い。移動距離が違うのだ。

3 Location Independent (professional)
ほぼ、デジタルノマドと同義。ロケーションインディペンデントとか、プロフェッショナルをつけて、ロケーションインディペンデントプロフェッショナルとかいう。
こちらはプロフェッショナルという意味が入っていて、どちらかと言うと、”職種”という意味合いが強い。何処にいても働ける職種。つまり、デザイナー、ブロガー、ライター、プログラマー、フォトグラファーなどをさして、ロケーションインディペンデント(な職種)というような使い方をしているようである。また、”ビジネス”という意味も入ってきているようで、ロケーションインディペンデントなビジネスを立ち上げるといったようにも使うようだ。つまり、メンバーが世界のどこにいても成り立つようなバーチャルチームやバーチャル組織など作る、というように使われる。
社員が全員Digital NomadやLocation Independentの会社も存在していて、あたらしい会社の形態として注目されている。なので、必ずしもフリーランスである必要はここではない。

4 Hyper Nomad
更に、ハイパーノマド という言葉もあり、こちらはジャック・アタリ氏のハイパーノマドからきている。ノマドはフリーランスではない、と言っているひとは、このジャック・アタリの概念を援用してきているはずだ。だから話が噛み合わない。
アタリが「21世紀の歴史」という本で、”ノマドの再興”と”超帝国”の概念を示したあたりから、ノマドという言葉に、元々のいみである”遊牧民”という以上の現代的な意味が付加された。

これは、前の2つと違ってデジタル技術を利用することに力点があるのではなく、個人のグローバル化に近い概念である。国境や何かの枠に囲っておこうと思っても囲っておくことができず、近代国家に終焉を突きつける新しい支配の仕組み・支配階層のメンバーというのがニュアンスとしては近い。
世界中で仕事を得たり、居住地、ときには国籍すらも自由に変えて、国や地域の境というものがあたかもないような形で、世界中を跋扈する。国家予算を超えるマネーをもち、国を破綻に追い込む金融取引を仕掛けることができ、その動きは、国境に封じ込めておくことはできない。
なんだかテロリストのようだが、なんだろう、ビジネス版のアルカイダみたいなもんだとおもっていただくと、全然違うがあながち遠くないかもしれない。彼らが属するのは超帝国、つまりグローバルな企業やグローバルなマネーだ。
職業としては、投資家や、起業家、保険会社、IT企業、グローバル企業の経営者、芸術家、クリエイターといった職業をさしている。彼らが新しい世界の支配階級だ。
なお、居住地を変えて世界中で働くという意味では、digital Nomad や Location Independentもこの文脈の中の一つであるが、Hyper Nomadは、超帝国という新しい世界の支配階級に属しているひとかどうかというのが大事なので、そちらに力点が置かれている。もちろん、フリーランスである必要は全くなく、むしろフリーランスのほうが少数派だと思われる。
人物でいうと、ジム・ロジャース、ホリエモン、三木谷浩史、高城剛、といったところがわかりやすいハイパーノマドだ。

5 Hyper Bohemian
ハイパーボヘミアンという。これは2,3の進化系で、働き方に加えて、ライフスタイルの変革も含めた生き方の概念だ。組織からの自由、場所の自由をだけではなく、究極の自由を目指す生き方であり、「働くのはやめよう」「今すぐリタイアのススメ」くらいにイッちゃてる話だとかんがえて良い。
ハイパーボヘミアン界のスーパースターは、ティモシー・フェリスというひとで、自動化されたスモールビジネスを所有し、だいたい週4時間の労力で年収500万円*稼ぐ仕組みを作り、遊んで暮らすことを推奨している。
投資銀行で死ぬほど働いて年収2000万ではなく、週4時間のみで年収500万を狙い、生活は断舎離して、不用なものは持たずに身軽に(ノマドっぽい)するというものだ。
基本的には、好きな事をやって遊んで暮らす。やりたいことだけやって、嫌なことは一切やらない。ティム氏は、カリブ海でダンスして過ごしたり、冒険旅行などをしてすごしているようだ。ハイパーボヘミアンは自由な時間や、嫌なことはやらないという生き方に力点があり、そのための仕組みとして、デジタルノマド的な仕組みを利用する。
日本人であげるなら、ひろゆき、がこれに非常に近い。2chから生み出される不労所得をもとに、なんだか不思議な生活を送っている。

*ティム本人は仕組みをつくるために自分の会社をもち、スタッフも居る(というか彼の仕事はすべてスタッフがやっているので、彼は何もしない)。だから、彼はフリーランスではない。なお、500万どころでなく、ゼロひとつ多く稼いでいると思われる。
企業オーナーという意味では、広義の起業家だが、株式公開を目指す大きな企業を作るのではなく、自分のためだけのスモール企業を作っている点が違う。

5+ ハイパーニート/ライフスタイルノマド/Bライフ/高等遊民
これは5から派生したものを私が整理した概念。色々な人がいろんな言い方をしており、用語が定まっていないが、概ね、ニートとか、ライフスタイルとかそいういう冠がついていることが多い。
内容としては、ハイパーボヘミアンの年収ダウン版の生き方だ。
働かず楽しく暮らすという点は一緒だが、年収500万ではなく、およそ年収100万円前後の不労所得をもって遊んで暮らしているひとを指す。
代表的な人は、ネットのアフィリエイトなどの収入(月7-8万円)で、一切の労働せずに、日々ぐうたらだらだらのニート的生活をしている@phaさん。親から相続したアパートの家賃収入(年100万円)のみで、20年間豊かな無職生活を送る山崎寿人氏。ホームページや論文添削などの収入を元に、自分で買った山林に立てた掘っ立て小屋(山小屋)で半自給自足の生活を行う(Bライフという)毎年寝太郎こと高村友也氏など。
「極限まで断舎離した生活」+「それを賄う、不労所得、または、ごく短い本人にとって苦労のない労働」+の組み合わせで、働かない生活を実現する。

なお、5と5+は明確に区別できるわけではなく、その人が遊んで暮らすために必要と考える年収によって下は100万から、上は1000万くらいまで、いろいろ濃淡があると捉えていただきたい。


<まとめ>
世間での「ノマド」の認識はもっぱら1のFreelanceのみで、たまに2,3の定義も見られる。4と考えているひともいるものの、1の人と話が合わず、意味不明な批判合戦になってしまっている。

皆さんが考える「ノマド」の意味はどのくらいまでを含んだり、含まなかったりするだろうか?
ぜひtwitterの@や、コメント欄でみなさんの意見を聞かせてほしい。

なお、僕が注目し、議論しているのは、いわずもがな1は含まず、4のハイパーノマドと、5のハイパーボヘミアン(+ハイパーニート)が中心である。

4のハイパーノマドは今後の世界の行く末を理解するのに最も大事な概念であり、個人だけではなく企業のサバイバル戦略にも密接に絡む。キャリア構築などもこれを前提に考える必要がある。

5のハイパーボヘミアンと ハイパーニート は、最先端の生き方として注目に値する。身軽な生き方、断舎離などのブームはこれを含んでおり、経済が伸びない先進国の今後数十年に渡るパラダイムにおいても、この生き方が徐々に注目を浴びるようになってくるだろう。

なお、私は、ハイパーノマドの時代がどうなるのかを理解して、そのなかでハイパーボヘミアンとして生きていくことを考え、すでに実践している。

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